悪魔の微笑み
あたしの頭に輝の手が触れる。
最後の一滴まで魔力が奪われてしまいそう。
だけど、それが心地よい。
あたしは、紛れもなく輝を求めている。
「玲」
急に名前を呼ばれ、どきりとする。
心臓が一瞬止まったかと思った。
反則だ、こんな時に名前を呼ぶなんて。
「玲!!」
少し強い語気で輝はあたしを呼び、身体をぐいっと掴み上げた。
その力に抵抗出来ず、へなへなと顔を上げるあたし。
涙の向こうには、ぼんやりと困った顔の輝が映った。