悪魔の微笑み
輝があたしの後ろの席に座っても、あたしのドキドキは止まらなかった。
何だかずっと見られているような気がして。
いても立ってもいられない。
飛び上がりそうなあたしに、
「玲、おはよう」
爽やかな挨拶が聞こえた。
その声の主は、いつものように性格の良さが滲み出た笑顔であたしを見ている。
「お……おはよう、正樹君」
正樹君を見た瞬間、更なる罪悪感があたしを襲った。
正樹君と真っ直ぐに向き合おうとしたのに、あたしは……
「明日、楽しみだね」
正樹君はそう言って笑う。
この前までの、あの気持ちはどこへ行ったのだろう。
正樹君と話をしても、あたしには後ろめたさしかない。
あたしの気持ちは、もう輝へ傾いてしまったの?