悪魔の微笑み
まずい!
あたしは、慌てて首を押さえていた。
そんなあたしの頭の中には、昨日の輝の甘い口づけが思い浮かぶ。
甘くて痺れて……
あんな気分になったのは初めてだ。
「む……虫に刺されて」
必死で言い訳を作るあたし。
輝のキスマークだなんて言えるわけもない。
「へぇ~。
そんな虫っているんだ」
わざとらしく輝が言う。
確信犯だ。
あたしは輝を睨み、前に向き直る。
もう相手なんてしてあげないという気持ちを身体全身で表現した。
やっぱり、輝の心はどす黒い。
だけど、そんな輝を見るだけで、そんな輝と話すだけでドキドキしてしまうあたしがいる。
あたしは……
完全に恋の病に侵されている。