悪魔の微笑み




輝はあたしを抱える手を離した。

その瞬間、醜く地面に座り込むあたし。

両手で胸を押さえて、身体を震わせていた。






「分かっただろ」




輝の威圧的な声が響く。




「お前はもう、俺から離れられねぇ」







分かっている。

……分かっているからこそ辛い。

それを認めると、あたしは裏切り者という事実を認めることになる。



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