悪魔の微笑み




どんな顔がいけないとか、分からない。

あたしはもとからこういう顔だから。




「そんなにあたしの顔が気に入らないなら、あたしに付きまとわないでよ」




ぽつりとこぼすと、キッとあたしを睨む輝。

その眼力だけで殺されてしまいそう。



だが、




「話にならねぇ」




輝はそう言い、あたしの身体から身を引いた。







途端に身体に力が戻ってくる。

ほんやりした頭も次第にはっきりしてくる。

輝に触れているだけで、こんなにも力がなくなるなんて。

身をもって結ばれてはいけない存在だと思い知る。

その事実が辛い。





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