悪魔の微笑み





「ある日、俺は屋上に呼び出されていた。

そこで、集団で暴行された。

それでも臆病な俺は耐えた。

これで奴らが満足するなら、それでいいとさえ思った。




だけど、あいつが現れた。


……アキが」






思わず輝の顔を見ていた。

相変わらず無表情を決め込んでいるが、口元が少し震えていて。

そんな輝をこれ以上見ることが出来なくなり、あたしは下を向いた。







「アキは怒って力を使い、いじめている奴らを吹っ飛ばした。

それで終われば良かったけど……

一番奥にいた奴はフェンスを越えて……

屋上から地面に叩きつけられた」



「……え」



「即死だった」



「……」







そしてアキは、人間を殺した罪を背負って悪魔になったのだ。






かける言葉が見つからない。

輝がどんな顔をしているなんてとても見れなくて。

あたしは下を向いたまま震えていた。





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