悪魔の微笑み




地獄……


魔界のことを、人々はそう言うのかもしれない。

確かに魔界は人間には想像もつかない世界だ。

だけど、あたしにとっては生まれ故郷。

それを地獄というなら……




今のあたしは、どんな世界に堕ちたのだろう。








あたしの視線の斜め下に、人がうずくまっていた。

俯いて、その金髪をさすっていた。




嫌な予感がする。





鮮やかな金髪……

それだけで、昨日のあの人を思い出してしまう。

もし彼なら、逃げないと!!

二度と見つかってはいけない。





存在滅亡の恐怖があたしを襲う。

彼があたしに気付く前に姿を消そう。

一か八か、身体に力を込めた時だった。




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