悪魔の微笑み




そんなことを考えていた。

だから、あたしは無防備になっていた。




急にあたしの手が握られ、思わず身を引く。

少し温かいその手に握られても、あたしの魔力は消耗しない。

あたしは、驚いてその手の主を見た。

正樹君は少し赤くなって横を向く。

その照れた仕草が何だか可愛い。

手を振りほどく気にもならないあたしは、この姿を輝に見せつけてやろうと企む。

こんなあたしは、まだ輝への未練を断ち切れていないのだ。

そして、腹いせに正樹君を利用しようとしている最悪な奴だ。



< 247 / 307 >

この作品をシェア

pagetop