悪魔の微笑み
そんなことを考えていた。
だから、あたしは無防備になっていた。
急にあたしの手が握られ、思わず身を引く。
少し温かいその手に握られても、あたしの魔力は消耗しない。
あたしは、驚いてその手の主を見た。
正樹君は少し赤くなって横を向く。
その照れた仕草が何だか可愛い。
手を振りほどく気にもならないあたしは、この姿を輝に見せつけてやろうと企む。
こんなあたしは、まだ輝への未練を断ち切れていないのだ。
そして、腹いせに正樹君を利用しようとしている最悪な奴だ。