悪魔の微笑み
「おっと」
男の声が聞こえ、手首をぎゅっと捕まえられる。
その瞬間、身体の力が抜け、地面に崩れ落ちたあたし。
何が起こっているのか分からなかった。
一体あたしはどうしてしまったの?
「人をボコっておいて逃げようなんて、無神経なんじゃねぇの?」
金髪はそう言って、座り込むあたしの顔を覗き込む。
怖くて、関わりたくなくて、あたしはさらに俯く。
すると、顎を掴まれてぐいっと持ち上げられた。
見たくない、見ちゃだめだ。
もし見てしまったらあたし……
また暴走するかもしれない。
必死で目を閉じるあたし。
そんなあたしの唇に……
生温かいものを感じた。