悪魔の微笑み
まだ客の少ないパーク内。
ジェットコースターを待つ列も、そこまで長くはない。
おまけに、四人組の何たらすらある。
気付いたらあたしはジェットコースターに座っていて、
身動きが取れない腕のようなバーに押さえつけられていて、
そして、覚悟する間もなく坂を登り始めていた。
隣にいる正樹君なんて、構っている余裕すらない。
空を飛んだことだってあるのに、どんどん地面から離れていくことが恐ろしかった。
そして……
もうだめ。
そう思ったのと、何かのレバーが外れたかのようにジェットコースターが猛スピードで動き出したのは同時だった。
あまりの恐怖で我を忘れ……
「玲、玲!!」
あたしの名前を呼ぶ声でやっと我に返ったのだ。