悪魔の微笑み
「だ……大丈夫だから!!」
苦し紛れにそう言ったあたしの顔を輝が覗き込んだ。
それだけで顔に血が上り、くらくらする。
何してんだろ、あたし。
「でも、白浜先生……?」
有希が困った顔で輝を見る。
そんな有希に、輝は笑顔でキツイ言葉を吐いた。
「俺はただ、引率でここに来ているだけだ。
だから、病人が出たら助けるのは俺の役目だろ?」
率直に言えば、輝はダブルデートをしているわけではないとでも言いたいのだろうか。
あぁ、本人は引率とすら思っていないだろうに。