悪魔の微笑み





「確かにはじめは興味本位だった。

だけど、優しくて純粋なお前から目が離せない俺がいた。

悪魔だから、天使だから、じゃねぇ。

俺はお前という存在に惚れている」





その一言一言があたしの身に沁みる。

あんなに大嫌いだったのに、なのに、今は輝がこの上なく愛しい。





「アキのことは心配するな。

俺はせめてもの償いとして、極力人間として生きているだけだ。

天使としての出世が待っている、あっちの世界に戻ろうとせず。

例えあいつが俺の前に現れても、俺はお前を離さない自信はある」





その言葉が聞きたかった。

不安で不安でもがき苦しんでいたあたしを、苦しみの世界から連れ出してくれるその言葉を。





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