悪魔の微笑み
裏切りの顛末
あたしは馬鹿だ。
輝に夢中になって、もう一つの大切なものを忘れていた。
目の前には泣きそうに顔を歪めた有希がいて。
その後ろには、魂が抜けたようにあたしたちを見つめる正樹君がいた。
「ゆ……有希!違う!!」
咄嗟に出た、その言葉。
違うことなんて全くない。
有希が目にしたものが全てだ。
後戻り出来ないなら、もっと早く打ち明けるべきだった。
有希の気持ちばかり考えたフリをして自分を守っていたあたしは、ただのペテン師だ。