悪魔の微笑み




だけど……



うっすら開いた瞳に飛び込んだもの。

それは、男の金色の髪で。

一瞬にして現実に戻されたあたしは、渾身の力で男を蹴り飛ばした。






ヤバい……。



なんて思わなかった。

ただただあたしはパニックを起こしていた。





蹴られた金髪は宙を舞い、空高く飛び上がる。

そして、数メートル向こうに音を立てて落下した。

醜く地面に伸びる男の髪が、風を受けてさわさわと揺れていた。




< 27 / 307 >

この作品をシェア

pagetop