悪魔の微笑み
「記憶消すか?」
隣でのんきに輝が言う。
あたしはそんな輝を睨み上げた。
これは、輝の問題ではない。
あたし自身の問題だ。
それに、ここで記憶を消しても同じことを繰り返すのみ。
あたしは早く二人に謝らなきゃ。
そして、本当の気持ちを伝えなきゃ。
二人とも、あたしの大切な友達だから。
輝は満足したように笑った。
そして、その手であたしの頭を撫でる。
頭がくらくらし、あたしは輝の手を振り払った。
輝のことは後回し。
輝と幸せ気分に浸るのは、全てが解決した後。
「二人を探すの、手伝って!」
あたしはそう言って駆け出していた。