悪魔の微笑み





「記憶消すか?」




隣でのんきに輝が言う。

あたしはそんな輝を睨み上げた。




これは、輝の問題ではない。

あたし自身の問題だ。

それに、ここで記憶を消しても同じことを繰り返すのみ。




あたしは早く二人に謝らなきゃ。

そして、本当の気持ちを伝えなきゃ。

二人とも、あたしの大切な友達だから。







輝は満足したように笑った。

そして、その手であたしの頭を撫でる。

頭がくらくらし、あたしは輝の手を振り払った。




輝のことは後回し。

輝と幸せ気分に浸るのは、全てが解決した後。





「二人を探すの、手伝って!」




あたしはそう言って駆け出していた。








< 270 / 307 >

この作品をシェア

pagetop