悪魔の微笑み
渾身の力で輝を振り払う。
輝は宙を舞い、周りの人を巻き込んで地面に倒れこむ。
輝じゃだめ。
あたしがやらないと。
例えこの身が泡になって消えても、大切な人を守り通す。
魔力は少しだけ残っている。
これだけあれば、あそこまでは飛べるに違いない。
力を振り絞り、悪魔の姿を解き放つ。
羽が伸び、角が生え、牙が覗く。
こんな姿、誰にも見せたくなかった。
有希にも、正樹君にも知られてはいけなかった。
だけど、裏切り者のあたしは悪魔に相応しい。