悪魔の微笑み
辺りから悲鳴が上がる。
きっと、あたしを見て怯えているんだ。
リミットはあと少し。
いや……もう間近。
身体が氷のように冷たい。
地面を蹴る。
渾身の力で上を目指す。
身体の感覚は既に無く、死の恐怖があたしを襲う。
鉛のように身体が重い。
視界が暗く、狭くなっていく。
だけど、必死で上を目指す。
「有希……」
あたしの口から、大切な友達の名前が漏れる。
あたしは、有希を悲しませることしか出来なかった。
だけど、最後に恩返しをさせて。