悪魔の微笑み




気付いたら、金髪はすぐ目の前にいて。

勝ち誇ったようにあたしを見ている。






「感じたんだろ?」



「そんなことない!!」




必死に否定するが、金髪は余裕な表情で笑っていた。





「俺は輝(てる)。

また迎えに来るからな」




金髪は……輝と名乗った男はあたしに背を向け歩きだした。

その瞬間、身体の力が抜けたように崩れ落ちるあたし。

地面に無様に座り込んだあたしは、拳を握りしめて震えていた。





初めて、人に対して殺意を覚えた。

悪魔の力さえ使えれば、あいつをぎゃふんと言わせてやれるのに。



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