悪魔の微笑み
追ってくるアイツ
もう、正樹君のことなんて、完全に頭から吹っ飛んでいた。
いや、あたし存亡の危機よりも、輝の存在があたしを脅かしていたのだ。
初キスに対して甘い夢を見ていたあたし。
そんなあたしの夢を、輝はいとも簡単にぶち壊した。
俯いて教室に入るあたし。
「おはよ、玲!」
みんなが挨拶してくれるが、上の空で応える。
そして、あたしの席に座った瞬間、再び輝の顔が頭を過る。
金髪で、人生舐め腐っていて、変態で……
だけど……
かっこよかった。
あんな完璧な顔なんて見たことがないくらい。
まるでそれはCGだ。
……あたし、何てこと考えてんだろ。
輝の存在を打ち消すように、あたしはぶんぶんと首を振る。
何だかあいつに気に入られたみたいだけど、あたしは二度と会わないから!
あんなキス、初キスにカウントしないから!!