悪魔の微笑み





「玲、大丈夫?」




不意に隣から声が聞こえ、飛び上がるあたし。



やばい、忘れていた、正樹君のこと。




隣の席の正樹君は、心配そうな顔であたしを見ていて。




「昨日、何かあったの?

玲、全然来ないから……」




驚愕の言葉を吐いた。





「え?覚えてないの?」




思わず聞いてしまうあたし。

正樹君はさらに怪訝な顔になる。




「正樹君、

輝……いや、金髪と喧嘩して……」



「金髪?

俺、ずっと公園で待っていただけだよ」





どうやら正樹君の記憶は、輝に因縁をつけられた辺りから消されていて。

きっと、お兄ちゃんの仕業だろうと悟る。

それにしても良かった。

正樹君が覚えていなくて。




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