悪魔の微笑み
放心状態のあたしは、授業どころではなかった。
泣きたい気持ちで正樹君を見て、輝を思い出しては怒りと戦った。
正樹君は、勉強も出来るし性格もいい。
顔だってかっこいい。
そんな憧れの存在と両思いになれると思ったのに、全て輝によって壊された。
輝はイケメンなだけで、きっと中身は空っぽだ。
教養なんてもちろんなくて、昼間から酒を飲んで遊んでいる。
あたしの中で、輝のイメージがどんどん膨らむ。
女の扱いも慣れていたな。
だって……
キス、本当に頭がおかしくなりそうだった。
身体が熱くなって、狂って、魔力すらなくなりそうだった。
……だめだ、あたし。
何考えてんだろ。
あたしは頭が吹っ飛ぶほど首を振る。
輝の雑念なんて飛んでいってしまえばいい。