悪魔の微笑み
「起立、礼……」
ホームルームが正に終わろうとした時だった。
勢いよく開く扉。
一斉に集まる視線。
すごく嫌な予感がした。
そして、その予感は的中する。
扉の向こうに立っていたのは、なんと金髪を煌々と輝かせた輝だったのだ。
「誰?」
「超かっこよくない?」
女子が騒ぎ立てるが、輝は見向きもしない。
その瞳にあたしを捉え、真っ直ぐにこっちへと向かってくる。
まずい、何としても逃げなきゃ。
女子トイレの個室に逃げ込めたら、あたしの勝ち。
まさかテレポートしたなんて思わないだろう。