悪魔の微笑み
鞄を持ち、机の間を懸命に走り抜けるあたし。
だけど……
それも呆気なく終わり、手首を掴まれる。
その瞬間、やっぱり力が抜けてしまって……
「捕まえた」
気付いたら、輝の腕の中にいた。
「離して!!」
必死に抵抗するが、輝はびくともしない。
「ソソるな、お前」
そう言ってあたしの身体をぐるっと回す。
不覚にも、輝と向かい合ってしまうあたし。
まずい、このままじゃ……
「シたいんだろ?」
「そんな……」
有無も言わさず顔を近付ける輝。
唇が触れた瞬間、身体の力が抜けてしまう。
甘い電流が駆け抜け、頭が真っ白になる。