悪魔の微笑み





「はぁぁぁぁ!?」




あたしは大声で叫んでいた。

力を制御することも忘れて。





道端の石が飛び跳ね、

電柱にヒビが入る。

それでもやっぱり輝は気にしない。

あたしの身体を離すまいと引き寄せた。






キスでも無理なのに、抱くなんて……






「無理ぃっ!!」




ありったけの力で輝を蹴飛ばしていた。







輝は空高く舞い上がり、見えなくなる。

そして、きらりと輝いて元の場所へと落下した。




地面には人型に穴か空き、ほかほかと煙が舞っている。

その様子を見て、あたしは完全に青ざめた。






輝だから大丈夫かと思っていた。

油断していた。



だけど……

いくら輝とは言え、これじゃ助からないかもしれない。

いや、助かったとしても、悟られるかもしれない。





あたしは……


今度こそ掟を破ってしまった。





< 49 / 307 >

この作品をシェア

pagetop