悪魔の微笑み
「はぁぁぁぁ!?」
あたしは大声で叫んでいた。
力を制御することも忘れて。
道端の石が飛び跳ね、
電柱にヒビが入る。
それでもやっぱり輝は気にしない。
あたしの身体を離すまいと引き寄せた。
キスでも無理なのに、抱くなんて……
「無理ぃっ!!」
ありったけの力で輝を蹴飛ばしていた。
輝は空高く舞い上がり、見えなくなる。
そして、きらりと輝いて元の場所へと落下した。
地面には人型に穴か空き、ほかほかと煙が舞っている。
その様子を見て、あたしは完全に青ざめた。
輝だから大丈夫かと思っていた。
油断していた。
だけど……
いくら輝とは言え、これじゃ助からないかもしれない。
いや、助かったとしても、悟られるかもしれない。
あたしは……
今度こそ掟を破ってしまった。