悪魔の微笑み
こんな哀れなあたしを見て、彼も少しは正気を取り戻したのだろうか。
あたしの前に座り、先ほどまでの罵声が嘘のような静かな声で話し始める。
あたしによく似た瞳が、あたしの瞳を覗き込んだ。
「玲、掟を破ったら、どうなるか知ってるだろ?」
こくりと頷くあたし。
「お前がそうなったら、俺は悲しい。
だって……」
そこで、彼はあたしの肩をぎゅっと抱く。
恐怖が和らぎ、安堵が訪れる。
彼のせいであんなに怯えていたのに。
なのに、彼のおかげで心が落ち着く。
……彼の力は凄い。