悪魔の微笑み
「駄目!!」
あたしが叫ぶのと、お兄ちゃんが輝を攻撃したのは同時だった。
黒い光が辺りを包み、それが怒りとなって輝に襲いかかる。
周りのものを全て破壊し、マンションの壁さえ打ち抜く。
すごい爆風が起こり、あたしは宙を舞った。
悪魔の力……
それも、一人前のお兄ちゃんの力は想像を絶する。
こんなお兄ちゃんに襲われたら、人間はひとたまりもないだろう。
いくら輝だって。
あの憎い輝でも……
「……え?」
何気なく頬に手を当て、あたしは凍りついた。
あたしの小さな手は、涙で濡れていて。
どうして泣いてるの?
輝なんて、大嫌いだったのに。