悪魔の微笑み
恐怖で震えるあたし。
お兄ちゃんが悪いわけではない。
お兄ちゃんは、あたしを守ってくれたのだ。
だけど、あんな恐ろしい力があたしの身体にも宿っているなんて……
「玲」
ふと名前を呼ばれ、顔をあげる。
新しい雫があたしの頬を伝った。
「お前……
俺のために泣いてくれてんのか?」
その声はいつもと違って、何だか妙に落ち着いていて。
「輝!?生きてるの?」
思わずあたしは叫んでいた。
胸に押し寄せる安堵。
何でだろう、あんなに憎い奴なのに。