悪魔の微笑み
ぶち抜かれた壁の穴から、清々しい風が舞い込んできた。
それがあたしの黒い髪を掻き上げる。
まるで、誰かに優しく撫でられているみたい。
「悪いけどな、俺はそんなんじゃ死なねぇ」
近くで声が聞こえ、不意に視界が真っ白になった。
昼間の太陽よりも眩しくて、
網膜まで焼かれてしまいそうで、
身体が熱くて融けそうで。
思わず目をつぶるあたし。
そんなあたしの頬を柔らかいものが撫でる。
それに触れた瞬間、魔力がなくなり力が抜ける。
まるで、輝のキスのようだ。
「てめぇ、どこの誰か知らねぇけどな。
俺様の玲を監禁するなんて、許さねぇ」