悪魔の微笑み
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この世界へ来る前にみっちり教えられたあの掟。
あたしたちの世界を知られることを防ぐ、鉄の掟。
あの掟を破り、消えた者は数えきれない。
その掟を守り、修行を全うした者だけが認められるのだ。
一人前の……
「ごめんなさい……お兄ちゃん」
彼に謝る。
すると、彼は大きくため息をついた。
「玲。お前がいなくなると、悲しむのは俺だぞ」
お兄ちゃんはそう言って、あたしの頭を撫でてくれる。
存在の滅亡がかかっている問題だから、そこまでシビアにならないといけないのだ。
お兄ちゃんは、本当はあたし思いですごく優しい。
「何としても、玲を一人前にさせる。
それが俺の使命だから。
修行を終えてもとの世界に戻ったとき……
お前は晴れて一人前の悪魔になれる」