悪魔の微笑み
「そんなことよりどうなのよ、正樹君は?」
不意に聞かれ、戸惑うあたし。
あたしは確かに正樹君が好きだ。
心から付き合いたいと思っている。
だけど、何だか正樹君の存在が淡いベールで隠されているようで。
逆に頭に浮かんだのが、どういうことかあの憎い輝の存在だった。
「やだやだやだ!!」
必死に首をふるあたし。
そんなあたしを有希は心配そうに見ていた。
これで輝が手を引いたとは思えていない。
お兄ちゃんを前にしても全く動じなかった輝は、きっとまた現れるだろう。