悪魔の微笑み
数時間前……。
あたしは、雨の中を走っていた。
傘を広げ、水たまりを飛び越えて。
遠くで雷鳴が聞こえるが、そんなものは関係ない。
初めてのデートだったのだ。
相手は同じクラスの男の子。
名前は正樹君。
成績も優秀でかっこよくて、あたしなんて手の届かない存在だと思っていた。
だけど……
「玲、映画に行かない?」
隣の席の彼から、なんとデートのお誘いが来たのだ。
それだけで胸がきゅんとときめくあたし。
あたしの心は完全に正樹君一直線だったのだ。