悪魔の微笑み




あたしはクラスでもおとなしいタイプ。

いつも黙々と教科書に向かっているような生徒。

授業中に騒ぐなんてことは一度もなかった。

そんなあたしが叫び声に近い悲鳴を上げるものだから、クラス中は騒然となる。






「森野さん、大丈夫?」



「玲、どうしたの?」




クラスのみんなはあたしを本当に心配してくれて。

正樹君に至っては、




「玲、顔色悪いよ」




そう言ってあたしの手を掴んだ。





これじゃ、完全にあたしの存在はバレバレじゃん。



だけど……





「先生、すみません。

頭痛が……」




そう言って立ち上がる。

会えて輝の方を見ないようにするが、心臓はバクバクと音を立てていた。




「あたし、保健室に……」




そう言ったとき、さらに悲劇があたしを襲った。






「じゃあ、僕が保健室まで連れていきます」






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