悪魔の微笑み
身体の震えが止まらない。
それは、決して寒いからではない。
とてもとても恐ろしいから。
廊下を並んで歩いた。
静かな廊下に、あたしたちの靴の音が響き渡る。
身体が震え、そして冷や汗が噴き出した。
輝は無言で、まるであたしに感心がないようで。
それがまた酷く恐ろしい。
今すぐにでも逃げ出したいと思った。
逃げだしたい……
待てよ……
頭の中で閃く。
人間でない輝にあたしの正体がバレるのは構わない。
いや、もうバレている。
だからこの場で姿をくらまして……
「逃げたって無駄だからな」
タイムリーなその言葉に、
「ひぃぃぃっ!!」
飛び上がるあたし。
恐怖で心臓が萎縮した気分だった。