悪魔の微笑み




「ほお……」




値踏みするようにあたしを見る輝。

その視線がやたら痛い。

まるで悪魔のような顔だ。




そんな輝を、あたしも精一杯の嫌悪を込めて睨む。



だが、




「ソソるな、その顔」




奴にとってはそれも快感のようで。

変態としか言い様がない。





「そのしかめっ面を、快感で歪ませてやる」




その言葉を聞いた瞬間、全身に寒気が走った。







この人の全てが気に入らない。




性悪なところ。

あたしに付きまとうところ。

イケメンなところ。

天使だというところ。





この人こそ、泡となって消えて欲しい。






「俺、相当嫌われてるな」




輝はそう言って頭に手を当てたが、困っている様子など微塵もなくて。




「そんな顔が出来るのも今のうちだ」




そう言って再び顔を掴まれる。

必死に抵抗するが、輝は力を緩めてくれなくて。

嫌でもその綺麗な顔が視界に入る。

そして、その顔に見惚れてしまう。




「俺から離れられなくしてやる」




勝ち誇ったように輝は笑った。


< 97 / 307 >

この作品をシェア

pagetop