悪魔の微笑み
「ほお……」
値踏みするようにあたしを見る輝。
その視線がやたら痛い。
まるで悪魔のような顔だ。
そんな輝を、あたしも精一杯の嫌悪を込めて睨む。
だが、
「ソソるな、その顔」
奴にとってはそれも快感のようで。
変態としか言い様がない。
「そのしかめっ面を、快感で歪ませてやる」
その言葉を聞いた瞬間、全身に寒気が走った。
この人の全てが気に入らない。
性悪なところ。
あたしに付きまとうところ。
イケメンなところ。
天使だというところ。
この人こそ、泡となって消えて欲しい。
「俺、相当嫌われてるな」
輝はそう言って頭に手を当てたが、困っている様子など微塵もなくて。
「そんな顔が出来るのも今のうちだ」
そう言って再び顔を掴まれる。
必死に抵抗するが、輝は力を緩めてくれなくて。
嫌でもその綺麗な顔が視界に入る。
そして、その顔に見惚れてしまう。
「俺から離れられなくしてやる」
勝ち誇ったように輝は笑った。