悪魔の微笑み
「自然淘汰」
昼休みのチャイムとともに教室を飛び出したあたし。
向かうところは図書館。
夢中で廊下を走り、階段を駆け上がった。
図書館のドアを激しく開けたあたしは、疲れ果てて肩で息をしている。
それでも狂ったように本棚に駆け寄った。
こうして、お兄ちゃんが作ってくれた弁当を食べることもせず、有希と話すこともせず、あたしはただ必死に本を探した。
図鑑の棚、
生物学の棚、
社会学の棚……
全てを見尽くしたのに、それはない。
ただ、神学の棚に似たようなものはあったが、それを見て愕然とした。
『天使は尊い。
その姿を見るだけで、人は幸せになれる。
悪魔はこの世の掃き溜め。
その姿を見るだけで、人の心は滅亡する』
掃き溜めって何よ!!
憤りを感じ、荒々しく本を棚に戻した。