海塔にて





「他のスタッフに紹介するよ」



モニタはそのままに、矢橋は身を翻した。


矢橋に続こうとして、片岡はもう一度だけモニタに目をやった。













久城と目が合った。












モニタ越しに、久城はじっとこちらを見ていた。




こちら。



違う、彼はカメラを見ているのだ。



そのことに思い至るまで、片岡は動けなかった。



「片岡君」



「――はい」










凪いだ瞳が、奇妙に印象に残った。



< 6 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop