その奴隷は愛に飢えて
「あれ、お前女?つーかその格好、奴隷だったのか」
「……ボクは男だよ、失礼しちゃう。それと、ボクを買おうなんて思わないでね」
「はあ?思ってねーよ。いいから来いって、ほら、これ着ろよ」
そう言って6番目に近づき、その華奢な体にはぶかぶかのコートを肩にかけるキオザ。
「…あったかい」
「そりゃ、真冬にンなさみぃカッコしてたらあったかく感じるだろうよ。
ほら、行くぞ」
6番目を立ち上がらせ、手を引くキオザの後ろ姿を見ながら、6番目はこう思うのだった。
ああ、なんて温かい人なんだろう、と。