その奴隷は愛に飢えて
キオザの住む家は市場を抜けた先にあるらしい。ちなみに6番目は市場のすぐ近くにある公園に今までいた。
市場は今日も大盛況。皆が笑みを浮かべて楽しそうにしている。
その様子を見た6番目は「ふぅん」と言うだけだったが、興味を示していたことは明らかだった。
「あ、そういやお前の名前聞いてなかったよな。名前なんてーの?」
「………『6番目の【嫉妬】』」
「……うん?それ奴隷だった頃の名前か?」
「違うもん。これがボクのな…」
「んじゃ、俺が名前つけるよ。んー、なにがいいかねぇ。アル、イオ、フーシャ、………」
頼んでもないというのに。
勝手に話を進めるキオザに、6番目は呆れてものも言えなかった。
そして、考え事をしながら歩いていたため、キオザは気づかなかった。