その奴隷は愛に飢えて
歪な笑みのまま、表情を変えずに有無を言わせない6番目に、とうとう男は折れる。
【奴隷房】から出ると5分ほどで戻ってきた。
「今しがた許しを貰った。ただし、一時間だけだがな」
「うわあい!ね、ね、たくさんあそぼう。そうしてボクだけを見ていてね」
言うや否や、鬼ごっこをしようと、そして君が鬼だよと言って逃げる6番目。
そのキラキラした瞳には、子供故のあどけなさが宿っていた。
「ボクを捕まえてね。ボクだけを見てね。ボクのことを探してね。ボクに優しく接してね。ボクに愛をちょうだいね。ボクのために頑張ってね。ボクのためだけに、
ボクのため “だけ” に、生きてね」
「それは、子供の独占欲か?」
男が言うと、6番目はへへっと笑った。