インストール・ハニー
 人に紹介するのなんて初めてだな。当たり前だけど。あたし今まで彼氏居たこと無いし。あ、彼氏じゃないか。

「いいなーあたしも彼氏欲しい!」

 一海が鞄を放り投げそうな勢いで言った。

「青葉最高じゃん。夏休み前に彼氏できるなんて。最高の夏になるね」

 なんか勘違いしてる。一海もあたしも。楓は彼氏じゃないんで……でも王子様ですとか言ったら混乱するだろうな。

「彼氏じゃあ……ないんだよね」

 もう少し行くとコンビニがあるから、そこに入ってて貰って、楓を呼び出して来よう。

「青葉は、好きなんでしょ? 楓くんのこと」

 どうだろう。好きなのかな。宮田くんに失恋したばかりで、もう別な人? それで良いのかな。嫌いじゃないけどさ、楓のこと。

「どうだろう。分かんないんだよね」

「ふうん。ま、うまく行くといいね!」

 太陽みたいな一海の笑顔。まるで今日の天気みたいだね。あたしは一海の笑顔で心が軽くなった。早く楓にも会わせたいな。あたしの友達なんだよって。
 好きなのかって聞かれても、あたしの考えはモヤがかかったようになる。よく分からない。
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