インストール・ハニー
「ちょっと、楓くんアイス食べない?」

「そう、俺も食べたくて。青葉と一海はなにがいい?」

「そうだなー」

 ちょっとちょっと。2人とも慣れすぎやしないか。もっとも一海はもとからこういう子だけれども。あたしの存在忘れていませんか。

「ちょっとーアイスとかってさぁ……なんかこう初対面のアレとか無いの2人とも……」

 あたしは口を尖らせて文句を言った。店内の涼しさが頭をクールダウンさせる。

「初対面のアレってなによ。いいから青葉もアイスほら。選びなよ」

 楓と一海は冷凍庫の前で既に選びに入っている。

「もう……」

 仕方なくあたしもアイスを選ぶ。バニラって決まってるけど。

「イチゴにしようっと」

「はいはい、決まったらレジ行くよ」

「楓くん、青葉がおごってくれるって」

 なんで。ああ、さっき言ったか。そういうの忘れてくれても良いのに。
 レジに行くと、あたしと楓はバニラ、一海がイチゴだった。会計を済ませ、外に出る。買ったアイスが瞬時に溶けそうな暑さだ。ガッチリ気温が上がってるな。

「このまま買い物しようと思うんだけど、楓どうする?」

「いいよ、付き合う」

「楓くんと青葉がこのままデートするなら、あたしお邪魔しないけど」

 こら一海。ニヤニヤすんな。

「なに言ってんの。ほら行くよ」

 ずんずん歩いた。待ってよーと一海の声が聞こえる。アイスの袋を破き、口に含むと、冷たさと甘い味と香り。口いっぱいに広がった。夏だなぁ。

< 46 / 121 >

この作品をシェア

pagetop