インストール・ハニー
「今年こそ宿題を夏休み前半に終わらせる宣言」

 麦茶を一気飲みした一海が言った。

「それはあたしも毎年思う。小学生の時から思ってる」

「できないんだけどね」

 宿題なんであんなにいっぱい出すんだろう。拷問じゃないだろうか。夏休みの思い出は大体、後半宿題を涙目でやるっていう……。

「だから俺がやっておくって」

 楓がクッキーを摘みながら言った。またそれを言う。

「なにそれ、いいなー青葉」

「やってもらうわけないでしょ!」

 自分でやるよいくらなんでも。
 タロウはクッキーを欲しそうに楓にすり寄っている。部屋に置いていた犬用おやつを楓に渡す。

「これ」

「ありがとう」

 楓はそれをタロウにお座りをさせ、与えた。こうやってると女子3人の集まりみたいだな。違和感無い。この人がスマホから出てくるなんて知ったら、一海びっくりするだろうな。

 明日から夏休みか。真っ先にバイト入ってるけど。本気で宿題を最初に終わらせてしまった方がいいな。じゃないと遊べないし。

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