インストール・ハニー
「なんでさっき、明日も来て良いのかとか聞いたの?」
2人でまかないを食べなから、楓に聞いた。まかないは茶そばだった。美味しいなぁ。
「明日からいらないよって言われたらどうしようって思ったから」
漬け物をかじりながら楓が言う。茶そばなんて食べたこと無いんじゃないだろうか。
「いいな、明日もよろしくとか言われるの」
ふっと笑顔になる。あたしもそう思った。6畳ほどの休憩室に、テーブルがあって、2人で正座してお蕎麦を食べてる。
「なかなか美味しい、これ」
「うん」
なんだか、お腹は空いてるけれど胸がいっぱいで、あまり食べられない。明日も明後日も、楓とここでバイトするんだ。夏休み、楽しく過ごすんだ。一海も居るし、毎日今日みたいな良い天気だと良いな。水不足は困るけど。
「あたしのことも、明日も明後日もよろしくね……」
そう言うのが精一杯。あたしには、楓が必要です。そういうことです。
「了解だ」
そう言うと、楓はあたしの頭を撫でた。ちょっとなにすんのマジで。茶そばが鼻から出るだろう。
帰り道、手を繋いだ。家に着く少し手前で、楓を戻すことにした。昼間、太陽に照らされたアスファルトはまだ熱を持っていて、夜でも暑い。
近所に、塀に囲まれた空き地がある。そこに2人で隠れて、戻す前に、キスをした。鼻の下にかいた汗が恥ずかしかった。
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