インストール・ハニー

 夏休みも半分を過ぎた頃、楓だけ休みという日があった。もちろん、あたし達2人で毎日入ってたわけじゃない。夏休みの課題もあったし。楓だけ1人で入るシフトも無かった。これはあたしが頼んだから。

 楓だけ休み、といっても、スマホに戻したままってことだけど。



「楓くん居ないとつまんないわー」

 そうボヤくのは一海。あたしもつまんない。

「もうずっとここで働いてるかのような戦力だもんね。物覚え早いし。お客さん受けも良い。お父さん誉めてるよ」

 楓は仕事を覚えるのが早く、オーダーは空で覚えられるし、料理をお出しする時も説明付き、メニューを説明するのもお手のもの。「本日のおすすめは……」とか「今はこのお魚が旬ですので」とか言ってる。

 あたしそういうの苦手なんだよね……。凄いと思う。

「ウエイター経験あるんじゃない? イギリスで」

「そ……そうかもね」

 聞いてないし知らないけど。

< 66 / 121 >

この作品をシェア

pagetop