インストール・ハニー

 楓はちゃんと人間。そして、実際に人間が参加してるゲームか……恋愛ゲーム。

「基本的には1人って、あとなにしてるの?」

「管理システムに青葉とのことを報告している。任務だから」

 任務……そんなことしてるの。

「俺は、このアプリのために育てられた人間だからな。青葉が知らない世界の話だよ」

 科学は進んでいるって言いたいのかしら。画面から人が出てくるなんて。

「俺の他にも、通称「王子」は数名居るらしい。相手役のことだけど、タイプがあるから、そこからユーザーが選ぶんだ」

 楓みたいなのが他にも居るなんて。じゃあこうやって生活している女の子が他にも居るってことか。人ごとみたいに言うけど、苦労してるな。

 映画みたいな話だけど、人間をスマホから出現させることができるらしい。マジか。1回バラバラにでもなるのか。なんでもできるようになってるんだな、知らないところで。

「そのタイプ選び、あたし適当にやっちゃって……」

「適当? そうだったのか?」

「あ、あのその」

 本当に適当だったからなぁ。よく覚えてないや。

「よくそれで俺と一緒に居られるな」

「べ、別に嫌じゃないし……ごめん」

 だってあの時は本当にどうでも良くて、恋愛ゲームみたいなものを間違って繋いでしまったのかと思っていたから。

< 68 / 121 >

この作品をシェア

pagetop