インストール・ハニー
楓はちゃんと人間。そして、実際に人間が参加してるゲームか……恋愛ゲーム。
「基本的には1人って、あとなにしてるの?」
「管理システムに青葉とのことを報告している。任務だから」
任務……そんなことしてるの。
「俺は、このアプリのために育てられた人間だからな。青葉が知らない世界の話だよ」
科学は進んでいるって言いたいのかしら。画面から人が出てくるなんて。
「俺の他にも、通称「王子」は数名居るらしい。相手役のことだけど、タイプがあるから、そこからユーザーが選ぶんだ」
楓みたいなのが他にも居るなんて。じゃあこうやって生活している女の子が他にも居るってことか。人ごとみたいに言うけど、苦労してるな。
映画みたいな話だけど、人間をスマホから出現させることができるらしい。マジか。1回バラバラにでもなるのか。なんでもできるようになってるんだな、知らないところで。
「そのタイプ選び、あたし適当にやっちゃって……」
「適当? そうだったのか?」
「あ、あのその」
本当に適当だったからなぁ。よく覚えてないや。
「よくそれで俺と一緒に居られるな」
「べ、別に嫌じゃないし……ごめん」
だってあの時は本当にどうでも良くて、恋愛ゲームみたいなものを間違って繋いでしまったのかと思っていたから。