平和契約~旦那様は暴君魔王!?~
第1章 魔王の花嫁
平和の代償
闇が支配する空。
そこに、陽が昇ることは永遠にない。
――そう、すべてが闇。
「オネエチャン!また来てくれたの!?」
頭にフードを被った布きれの裾をぐいっと引っ張られた。
「! ピクス!もう体は大丈夫なの?」
自分の腰よりも下いる、小さな体。
頭には猫のような耳が2つ。
黄色い髪に、下の方で一まとめにくくられているおさげ。
ついでに言えば、お尻にはキツネのようなふわふわのしっぽがついている。
「体?…ああ!俺たち魔族は怪我の治りも早いから、こないだの戦争の時の怪我なんかへっちゃらさ!」
ヘヘン!すごいだろ!と、ピクスは自慢げに私に言った。
(魔族…。私とは違う…。)
「……そっか。なら良かったわ。」
内心、複雑な思いで話を聞きながら、私は魔族の子どもピクスの、柔らかな黄色い頭を撫でた。