君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
誰もいない廊下。



「悪かった」



大人げなかったな、と言う。

いつぶりに聞いただろう、優しい声。



「…大人げないのは、いいんです」

「うん」

「でも、話を聞いてもらえないのは…」



つらい。

涙が出て、最後まで言えなかった。


それでも、うん、と言ってくれる。

ずっと恋しかったその声は、温かすぎて。


ごめん。

うつむいて顔を覆う私に、ぽつりと降ってきた、言葉。


ごめん、なんて。

そんなの。


初めて聞いたよ、新庄さん。






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