君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
意外なことに、広いリビングはナチュラルな木目と白という優しいトーンで統一されていた。
私は今、なぜか、新庄さんの部屋にいる。
駐車場に戻った時は、ずぶ濡れだった。
シートを汚してしまいそうで、車に乗るのをためらっていると、早く乗れ、と押し込まれる。
「すごいな、なんだこれ」
「夏みたいですね」
突発的な雷雨で、空も海も区別がつかないほど灰一色。
少し弱まったところを狙って帰ってきたものの、20分の距離では、やっぱり濡れるだけ濡れた、という感じで、髪も服も絞れば水がしたたるだろう。
顔を見合わせて、笑ってしまう。
「どうするよ、これから」
「夕食行きたいですけど、無理ですね」
この格好じゃ、どこにも入れない。
それになにより、寒い。
冷えきった手を息で温めていると、新庄さんが少し考えて言った。
「買ってって食べるか」
食べるって、どこで?
尋ねると新庄さんは、にやりと笑った。
「俺の家」