君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
ふと、新庄さんが動きを止めた

シーバーで連絡が入ったんだろう、イヤホンに耳を澄ましている。


新庄了解、と襟元のマイクに短く言って、素早く立ちあがった。



「じゃあな、ゆっくりしてけよ」

「お疲れさまです」



ドアまで行く間に、持っていたお茶を飲み干すと、カップをゴミ袋に投げ入れて出ていった。


久しぶりに会った。

こういう偶然は、誰かに感謝したくなる。


私たちが勤めるのは、大手の広告代理店。

営業である私は、あるクライアントの専属プロモーターとして広告活動をする部署にいる。

2ヶ月前まで上司だった新庄さんは、マーケティング部門に異動し、新しいプロジェクトの立ちあげに加わっていた。


私は彼のことが好きで、彼も、それを承知してる。

じゃあ私たちの関係はというと、これがまた微妙で。


あえて言うなら…「彼待ち」だろうか。



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