君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「堤チーフと新庄さんて、関係あったんですねえ」
堤さんの隣に座った高木さんが、赤い顔で陽気に言う。
「僕も、ブレストの時驚いた」
「俺も」
メディア、製品チームの両方から、口々に声が上がる。
「企画部で、一年間だけでしたけど」
常温の日本酒をマイペースに飲みながら、堤さんが言う。
この人も、相当お酒が強そうだ。
ふと、向かいの私と目を合わせて、にこりと笑った。
「新庄は、厳しかった、大塚さん?」
「そう、ですね、妥協を許さないという意味では」
つっかえそうになりながら、なんとか答える。
なんで、いきなり私に振ったんだろう。
「いい男だよね」
見透かすような目で見つめられて、うなずかざるを得ない。
「堤さんも、負けてませんよ…」
いたたまれない気持ちでそう言うと、またまた、と軽く流された。
「林田さんも、顔だけはいいし、うちの歴代チーフは男前が多いよな」
「顔だけとか、やめてくれる?」
堤さんの視線が気になって、私は、みんなの軽口に加わりそびれた。